空蝉(ぬけがら)

ねぇ、もんじ・・・、覚えてる?

5年前、幸せを求めてこの山村に移住したばかりの頃。

真夜中にケージの連結部の狭い隙間から大脱走を企てて、

タッタカタッタカ軽快なスキップで出てきて笑わせてくれたよね。

あの脱出劇を機に、ケージの扉は開けっ放しになったんだよ。

放し飼いのもんじと、ひきこもりの私は、いっつも一緒で、

もんじと離れるのは、週に1~2度買い出しに行く時だけで。

そんなわずかな時間でも、もんじ、寂しそうにしてたよね・・・。

「いつでもどこでも一緒」 が当たり前の毎日やったから。

朝も、昼も、夜も、眠る時も、楽しい時間も、悲しい時間も、

いつもいつも一緒やったもんね・・・、もんじ。

・。.♪⌒・。.♪⌒・。.♪⌒・。.

*** クサ食って、クソして、そのまま寝ちゃった ***
もんじ

朝寝坊な私の枕元でホリホリしながら●もんクソを飛ばし、

寝ている私の髪をクイクイ引っ張って起こそうとしてみたり。

ひだまりの間(ま) で昼寝して、好きな場所でくつろいで、

宵の頃にはピアノ部屋に移動して季節の果物をむさぼり食い。

今の時期は、すもも♪

もんじ

いつも半分こして食べたのに、今年は食べれないね・・・。

食べ終わったら、ふたりっきりのピアノの時間。

もんじの傍でピアノを弾いて・・・すごく幸せやったよ・・・私。

ピアノが亡くなっても、ピアノ部屋でふたりで過ごしたよね。

ピアノ部屋で内職に励む私の足を枕にして眠ってた もんじ。

ピアノを失っても・・・、もんじがいてくれたから・・・。

・・・・・。

もんじ・・・。

至福のピアノの時間のあとは、晩ごはん。

私が食事をする時は、もちろん、もんじも一緒で。

私が食事を運び始めると、自分の席に座って待ってたよね(笑)

もんじを挟んで2人+1兎で囲む食卓は笑いが絶えへんかった。

もんじのいない食卓は、何を食べても美味しくないよ。

・。.♪⌒・。.♪⌒・。.♪⌒・。.

消灯後、夜型人間の私を待たずして先に寝てた もんじ。

だけど私がお酒をおかわりしに部屋を出て戻ってくると、

不安そうに起きて待ってた寂しがり屋の甘えん坊さん。

「おかわりしてくるね」 って言ったでしょ(笑)

もんじは一時でも、ひとりぼっちになりたくなかったんよね?

そんなもんじが愛しくて可愛くて、たまらなかった・・・。

冬になると私の枕にお尻をくっつけて眠ってた、もんじ。

シングル布団の右半分がもんじの寝床、残りの左半分が私。

でも、もう・・・、一緒に寝れへんのやね・・・。

もんじのいない夜は寂しくて、夜が来るのが怖いよ・・・。

・。.♪⌒・。.♪⌒・。.♪⌒・。.

私の 「抜け殻」 が大好きだった、可愛いもんじ。

抜け出たばかりの布団や、立ち上がったばかりの座布団とか。

私の温もりと匂いがホヤホヤに残った、「抜け殻」。

私の抜け殻を我が物顔で占領してるもんじが、可笑しかった。

もんじ・・・、私の匂い(臭い?) が大好きやったもんね。

*** 私の抜け殻(布団)を占領中 ***
もんじ

私の物は、もんじの物。 もんじの物は、私の物。

もんじと私は一心同体。 もんじは私のすべて。

もんじ・・・。

もんじが大好きだった、私の抜け殻・・・。

そして、もんじが去り・・・。

ポツンと取り残されたのは、抜け殻の私・・・。

無駄にデカい168センチの自分の体が、

小さな小さな小さな小さな蝉の抜け殻みたいに思えてくる。

頼りなくて・・・、ぼろっと崩れてしまいそう・・・。

からっぽ。

中身は、もんじが一緒に連れてっちゃったのかな・・・

もんじ

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